「仕事のストレスがたまってくると、体重が増えたような気がする。
特に暴飲暴食をしているわけではないのですが、忙しくなったり仕事でトラブルがあったりするたびに、体重が増えていく感じがします。」
このような相談をしているのは、自分で会社を経営されているDさん(50代男性)です。
実際に、企業の経営者に限らず、現代のビジネスパーソンなら誰でもストレスがたまっているときに、体重が増えてしまうという方は、結構多いかもしれません。
今回は、忙しいビジネスパーソンがストレス太りから回避する方法について、解説していきます٩( ᐛ )و
ストレスを感じるまでの過程について
「ストレス」と、一言でくくってしまうと、どうすることもできない問題のように感じるものですよね。
そこで、ストレスを感じるまでの過程で、私たちのカラダの中で、どのようなことが起こっているのか見ていきましょう。
健康な人に、多くの計算問題を速く正確に解かせるというストレスのかかる作業をさせて、どのような変化が起こるのかを調べた実験があります。
この実験では、時間の経過によって参加者に次のような変化が起こりました。
①作業をはじめると、まずはじめに血液中の「アドレナリン濃度」が高まる
②作業が長時間になると、「ノルアドレナリン濃度」が高まる
③作業を邪魔する刺激(騒音など)が加えられると、「コルチゾール濃度」が高まる
この過程を被験者の感覚に置き換えていきましょう。
①アドレナリン:気分が高揚する物質
最初は「よし!」と気合を入れています(気合)。
②ノルアドレナリン:脳を覚醒する物質
セロトニンが緩やかに脳を覚醒させるのにたいして、ノルアドレナリンは、不安や疲労を感じてピリピリしているような覚醒をもたらします。
「この作業はいつまで続くんだろう」「この回答で大丈夫かな」と作業が続くことによって、生じる不安や疲労を感じるのです(疲労)。
③コルチゾール:炎症を抑える物質
コルチゾールが不十分だと、カラダの抵抗力が落ちてしまい、ちょっとしたショックでダメージを受けてしまうことから、邪魔されたことによるショックに対抗できるカラダをつくるために分泌が高まると考えられています(イライラ)。
いらだっているときに、コルチゾールが多くなるので、「ストレスホルモン」と呼ばれることが多いですが、いらだっているときに、さらなるダメージを防ぐために抵抗力を高めているので、「抗ストレスホルモン」という表現が正しいのです。
3つのホルモンと体重との関連性について
「気合(アドレナリン)→疲労(ノルアドレナリン)→イライラ(コルチゾール)」の流れになります。
では、次にこの3つのホルモンが体重に関して、どのように作用しているのかを見ていきましょう。
アドレナリンは、生体が緊急事態に遭遇した際に、その状態から逃れるために血液中にブドウ糖を増加させ、血糖低下や血圧低下を防ぎます。
ノルアドレナリンも同様に血糖を上昇させます。
コルチゾールも血糖を上昇させて、そのストレス状態が長く続くと、脳の下垂体前葉はその状態を克服するために、さらに副腎皮質ホルモンを分泌させて、コルチゾールをつくり続けます。
下垂体前葉は、本来は『成長ホルモン』の分泌も担当していますが、コルチゾールの分泌に追われてしまい、成長ホルモンの分泌は減ってしまいます(ノД`)
この3つのホルモンから、血糖値は高まる一方となり、脂肪分解も減ってしまう。
これによって、食べる量が増えていなくても、体重が増えてしまうという理論が成り立つのです。