近年、認知症の患者数は、増加の一途をたどり、今後も増え続けるであろうと考えられています。
2017年に内閣府が発表しましたデータによると、2012年に日本の認知症高齢者数は462万人でしたが、高齢化社会の進展に伴い、2025年には800万人前後…
つまり、日本の高齢者の約5人に1人にまで達する可能性があるとの推計が出ているのです(゚o゚;;
今回は、糖尿病と認知症の関連性について、解説していきます٩( ᐛ )و
認知症のリスクを減らすには生活習慣を整えること
読者の皆さんの中にも、「自分が認知症になったらどうしよう」「認知症になるのを防ぐために、今からできることがあれば、やっておきたい」このように思っている人も、多いのではないでしょうか。
しかし、残念ながら、現在、認知症にたいする決定的な予防方法や治療方法は、まだ見つかっていません。
「できるだけ人と交流し、社会とのつながりを持つ」「生きがいや達成感が感じられるようなことをし、心や脳を働かせる」といったことに加え、「生活習慣病を予防する」ことが、認知症の予防においては非常に大事だとされています。
高血圧症や糖尿病、脂質異常症、脳卒中、肥満といった生活習慣病と、認知症との関連性については、過去に多くの研究がされており、食生活の改善や適度な運動が、認知症の予防につながると考えられているのです。
糖尿病が、原因でアルツハイマー型認知症にかかるリスクを高める
「認知症」といっても、さまざまな種類があり、日本でもっとも多いのが「アルツハイマー型認知症」で、認知症患者の6〜7割が、これに該当します。
アルツハイマー型認知症は、『アミロイドβ』や『タウ』というタンパク質が脳に蓄積し、神経細胞が減少して、記憶を司る『海馬』を中心に脳が萎縮するというもので、「記憶障害が緩やかに進行する」「人物や場所、時間などが認識できなくなる」といった特徴があります。
原因は、まだはっきりと解明されていませんが、かつてアメリカで行われた研究では、高血圧症や糖尿病など、生活習慣病に関わる因子とアルツハイマー型認知症との関連性が明らかにされています。
動物実験により、「内臓脂肪から分泌される悪玉ホルモンが、アミロイドβを脳に蓄積させている」という結果もあるようです。
また、九州大学が福岡県糟屋郡久山町の住人を対象に、1985年以降継続的に行っている研究では、内臓脂肪の増加やⅡ型糖尿病に伴う高インスリン血症状態が、アルツハイマー型認知症の原因となる『アミロイドβ』の分解を阻害すること、『タウ』の変質促進に関わっていること、糖尿病患者がアルツハイマー型認知症を発症するリスクが、血糖値が正常な人より2.1倍も高いことが明らかになっています。
一方、近年増えつつあるのが脳血管型認知症で、日本の認知症患者の約2割を占めています。
この病気は、脳梗塞や脳出血などが原因で血流障害が起こり、脳の一部が壊死して機能が低下するというもので、梗塞が脳のあちこちに起こったときや、完全に血管が詰まっていなくても、脳の動脈硬化が強く、血流が極端に悪くなったときに、脳血管型認知症が発生しやすいと考えられています。
そして、久山町の研究では、高血圧症の人は、血圧が正常な人に比べて、50〜64歳で2.4〜10.1倍、65〜79歳で3.0〜5.5倍も、脳血管型認知症のリスクが高まるという結果が出ています。
次回に認知症の予防策について、解説していきますので、お楽しみに!